皆さんこんにちは、ダイブマン楠本です!
今日はSAS製のAACS-1という
インフレーターのオーバーホールです
海で良く見かけるやつですね!
今回はインフレーターヘッド部分のご紹介!
BCDへの給気は赤ボタン、排気はグレーのボタンを押すと
圧力によってインフレーター上部の排気弁が開いて排気できるようになっています
一々インフレーターホースを持ち上げなくても、ボタンさえ押せば排気できるので
なかなか便利なインフレーターホースです
まずはINとOUTのボタンから外していきます
傷をつけないようにバイスには樹脂のプロテクターを
ボタンはこれも樹脂ヘッドのプライヤーを使って外します
ボタンは共回りするので治具でロックして回します
次にアンダーキャップの3ツ穴部分に特殊な治具を差し込んで外します
AACS-1は一般の方が分解できないような工夫がされています
ボタンが外れたり、アンダーキャップが取れたりしたらとても危険ですからね
アンダーキャップを外すと海水による錆が
でもこれはまだキレイな方かな!
アンダーキャップは使用中外れないようにネジロックでバッチリ固定されてます!
歯科用の探針を曲げて治具に!ロック剤を落としていきます
オーバーホールはありとあらゆる使えそうな治具を探すのも楽しみのひとつです!
カリカリ根気よく落としていきます、よく指をブッ刺すので要注意です!
よそ見厳禁(笑)
ある程度落としたら仕上げはルーターでキレイにしていきます
キレイになりました!
次に内部のシリンダーとシャフトを外します!
上二つが排気用、下が給気用!
両方ともほとんど腐食は見られず良好な状態です
ヘッドの内部にあるシリンダーは、中と外にOリングが使われています
超音波洗浄後にOリングを入れていきますが
SAS純正のAACS-1用パーツ交換キットを使用します
このパーツキット価格は¥1640-です
ダイビング用のOリングは航空機用のAS568規格のものが多いですが
SASは国産なので国産のP規格のOリングが使われています
少しだけ太めの丈夫なOリングです!
ダイブマンの潤滑剤はシリンダーの内部、摺動部は”クリストリューブ”を使います
高価ですが、非常に滑らかに作動するようになります
油脂を使用しておらず引火性が無いので
良く高濃度のナイトロックス用に使用されています
2オンス1本で¥5400-、使用有効期限付き!!高っ(笑)
そうそう、このシリンダー内に規定のOリングを入れるのは至難の業!
治具が無いと気が狂いそうになるくらい大変です
なのでこういう治具を使って入れます
Oリングを入れたいところに一発で入れてくれるスーパー治具です
メーカーも今は作っておらず、もう手に入りません!!
昔のことを思い返すといろいろ後悔の山ですが、コレは
20数年前に買っておいて良かった稀有な例です!(笑)
シリンダーとシャフト部分が完成です!
外側のOリングは動かないのでグリスが落ちにくいように
高粘度のシリコングリスを塗布してあります
潤滑剤も適材適所で!
オーラルインフレーターボタンもネジ部はサビサビ
特殊な薬液で錆を分解していきます
キレイになりました
各部、樹脂に干渉しないネジロックを付けながら
締めこんでいきます
中圧ホースカプラーにもOリング装着
インフレーターヘッド部分が完了しました
AACS-1で最も大変なのはこの部分です!
通常のインフレーターと比べると3倍くらい時間がかかります
なのでオーバーホール工賃は少し高くなるのですね!
皆様のご理解とご依頼をお待ちしてます(笑)